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孫に生前贈与する際の注意点

  • 文責:所長 税理士 石井浩一
  • 最終更新日:2024年9月24日

1 孫への生前贈与と注意点

相続税は被相続人が亡くなった時点の財産に対してかかってくる税金です。

そのため、孫に生前贈与を行うことは、被相続人の財産を圧縮することにつながり、相続税対策として有効な方法の一つといえます。

しかし、生前贈与にはいくつかの注意点や条件があり、適切に行わないとかえって贈与税の負担が大きくなることがあります。

ここでは、孫に生前贈与を行う際の注意点を説明していきます。

2 贈与税の基本的な考え方

贈与税は、個人が1月1日から12月31日まで1年間の間に贈与を受けた財産に対して課税されます。

基礎控除額は年間110万円であり、110万円を超える部分に対して贈与税が課されます。

孫に贈与する場合もこのルールが適用されます。

つまり、毎年110万円以下の贈与を行うことで、贈与税の課税を避けつつ、贈与をすることができます。

また、1年間の贈与額が大きくなるにつれて税率があがる累進課税制度を日本は採用していますので、複数年にわたって計画的に贈与を行うと、贈与税の負担を軽減できます。

3 孫への贈与と住宅取得資金の贈与

孫が住宅を購入する際に資金を援助する場合、一定の条件を満たせば非課税で贈与することができます。

この特例は、直系尊属からの贈与に限られるので、要件を満たせば孫が受贈者となる場合も適用できます。

ただし、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること、住宅の取得に充てる資金であること、贈与税の申告を行うこと、取得する住宅が居住用であること、という要件があります。

4 教育資金、結婚、子育てに関する一括贈与

祖父母が孫に対して教育資金を一括で贈与する場合、一定の要件を満たせば非課税となる制度があります。

この制度は、教育資金を信託口座に預け入れる形式で行われます。

また、結婚や子育てにかかる費用を支援するための贈与も、一定の条件を満たせば非課税となります。この制度も信託口座を利用します。

5 相続時精算課税制度の利用

相続時精算課税制度を利用することで、2,500万円までの贈与が非課税となり、それを超える部分について一律20%の税率で贈与税が課されます。

ただし、この制度を利用すると相続時精算課税制度が適用された贈与額について、相続時に相続財産として加算されます。

令和6年以降の相続時精算課税制度が適用された財産については、年間110万円を超えた部分について、相続時に相続財産として加算されます。

また、贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上であること、贈与を行う者が60歳以上の親または祖父母等直系尊属であること、といった要件や相続時精算課税制度を選択すると、その後の贈与についても同制度が適用されるといった注意点があります。

6 孫と生前贈与

孫に生前贈与を行う際には、贈与税の基本ルールを知っていることはもちろん、非課税の制度や、贈与財産の評価方法、証明書類の準備など、多くの注意点があり、間違うと多額の贈与税を納めなくてよかったのに納める必要がでてくるということになりかねません。

贈与税の負担を合法的に軽減し、適切な贈与を行うためには、計画的な贈与と専門家のアドバイスが重要です。

また、孫への贈与は、基本的に、相続財産に加算して相続税を計算する必要がないといったように相続税とも密接に関係してきます。

特に大きな金額の贈与や不動産・株式などの評価の必要な財産の贈与を行う場合は、税理などの専門家に相談し、相続税の観点からも慎重に検討を重ね、適切な手続きを行うことをおすすめします。

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